自分の外見を磨くことは、ある意味で『自己満足』の面もありますが、なんと言っても他の人に自分を良く見せるためのものであります。清潔なイメージは、相手に好感を抱かせることができ、プライベートでもビジネス上でも良い影響を与えます。そんな中、最近はメンズコスメ、メイクアップ男子、ジェンダーレスという言葉をよく耳にします。
今回は、メンズコスメの最近の傾向や男性肌の特徴、そして効果的な男性のスキンケアについて紹介します。
最近の傾向
ドラッグストアや雑貨店のメンズコスメコーナーは以前より拡大されており、また、SNSでも男性肌やメンズコスメ情報がよく取り上げられています。実際、株式会社インテージのSCIⓇ(全国消費者パネル調査)の結果を見ると、2020年度はコロナ禍で化粧品市場全体が大きく落ち込んでいる中、男性向け化粧品市場は大幅に拡大しています。
この背景には、通勤時間や飲み会にかけていた時間・お金をスキンケアにも充てられるようになったこと、オンライン会議中に自分の顔を見る機会が増えて関心を持つようになったことなどの理由が考えられます。
男性がメイクすることに対する偏見はまだまだあるかもしれませんが、今はユニセックスを超えたジェンダーニュートラル、ジェンダーレスの時代。ファッション業界から始まったジェンダーレスのムーブメントが、化粧品市場にも新たな風を巻き起こしています。これは、中立的な観点から個人の個性と好みに応じて製品を選択してスタイルを作っていくことを意味します。
男性用化粧品の購入は、10代では3割、20代は約5割程度で30代が約6割、40代~60代では約7割。若い世代ほど、男性用の化粧品より、女性用基礎化粧品を探していることが分かります。
では、上記の調査結果のように男性も女性用化粧品を使えばいいのでしょうか?
男性肌の特徴
メンズ化粧品はもちろん、ジェンダーレス化粧品が多くなっている中、男性にとってより良い化粧品を知るためには、まず男性の肌の特徴を把握しなければなりません。
①厚みがある
20代と40代の肌が違うように、男性と女性の肌にも違いがあります。エストロゲン(女性ホルモン)、テストステロン(男性ホルモン)などホルモンの違いは肌にも影響を及ぼし、男性と女性の肌構造を変えます。
特に、表皮の厚さは男性が平均して約1.5mm、女性は約1.2mmと男性の方が厚い傾向があります。また、男性肌は女性肌よりもコラーゲン層が厚くなっています。その理由としては、男性ホルモンのテストステロンはコラーゲンの合成を活発化させ、さらにコラーゲンが肌に弾力を与えるとともに、肌全体を厚くするためです。
余談ですが、女性化粧品にコラーゲン成分が多く配合されている理由は、コラーゲン成分を利用して肌に弾力を与え、ハリのある肌にするためです。つまり、男性の厚い肌は女性よりハリと弾力があるため、しわが現れる時期は相対的に男性の方が遅くなります。
②皮脂が多い(油分が多い)
男性の肌が女性よりテカリやすいのは、男性ホルモンのテストステロンが皮脂腺を発達させるからです。男性の肌は思春期頃から皮脂分泌量が増加します。皮脂は皮膚を保護するために必要な物質ですが、過度に分泌されると開いて目立つ毛穴が増えてしまいます。特に、男性ホルモンが多い10代の場合はニキビができやすくなりますが、反対にホルモンが減り始める30代からは皮脂が不足して肌が乾燥するようになり、開いたままの毛穴がより目立ちやすくなってしまいます。
③しわが目立ちやすい
肌の保水力に影響する角層量は女性の30~50%に過ぎません。丈夫に見えて、乾燥しやすいのが男性肌の特徴です。
20代までは皮脂が多くて乾燥を感じにくいのですが、歳を取ってホルモンが減少し肌の弾力が落ちしわができ始めると、男性の肌は女性よりも厚いためしわが深く見えます。また、エストロゲンは皮膚の老化を抑え、表皮細胞の増殖を促し、傷の治りを早める効果がありますが、男性は女性よりエストロゲンの分泌量が少ないため傷の治癒速度が相対的に遅いです。抗酸化力も低いため、紫外線による影響を受けやすいのも特徴です。紫外線に露出された肌は黒くなり、光老化による影響が早く現れます。
つまり、男性は女性より皮脂の分泌量が多く、肌の弾力を維持するコラーゲンも女性より多いため、医学的には老化の進行が遅いはずですが、多くの場合きちんとスキンケアをしないため、しわや毛穴により老けて見られやすくなるということです。それに加え、男性の皮膚水分含有量は女性の30~50%程度と元々乾燥肌になりやすいにも関わらず、毎日ひげを剃ることで肌の保護の役割をする角質層の表面を削り出し、より肌の水分を失っています。摩擦は肌への大きな負担になり、乾燥や肌荒れにつながります。朝と夜1日2回の洗顔で余分な皮脂を落とし、洗顔後・ひげ剃り後は化粧水などでしっかり保湿することが大事です。
とりあえず、という考えで女性用化粧品を使うのではなく、男性肌の特徴が考慮された油分が少なく、水分が十分な化粧品を使いましょう。大切なのは「洗顔」「保湿」「紫外線対策」。スキンケアをしっかり行えば、きれいな肌になれます。
男性スキンケアステップ / きれいな肌になるために
スキンケアの種類も様々です。ここでは使用する順番に沿って、タイプ別に紹介します。基本的には水分量の多いさらさらとしたテクスチャーのものから、油分の多いこってりしたテクスチャーのものへという順番で使用することが多いです。
化粧水、スキン(トナー)
肌のキメを整える、液体タイプの化粧品です。男性用にはアルコールが多く含まれており、顔の油分が多い脂性肌の方には良いのですが、刺激が強いため、なるべくアルコールが少ない化粧品を選ぶのがおススメです。
美容液、エッセンス(セラム/アンプル)
しわ改善/美白/ニキビ緩和などの効果のために塗ります。化粧水の代わりに使っても構いません。化粧品の中では高価な商品が多くなっています。テクスチャーとしては、エッセンスは瑞々しい、アンプルはもちもちして高濃縮、セラムはエッセンスとアンプルの真ん中です。
乳液、ローション(エマルジョン)
トナーより油分があり、不透明な白い液体です。保湿力はややあります。脂性肌ならこの段階で終わらせても構いませんが、乾燥肌の場合、顔がつっぱることがあるため追加でクリームを塗ることをおススメします。
クリーム
ローションよりもこってりした化粧品で、効果や保湿がより確実です。オールインワンタイプを使用する面倒くさがり屋ならば、洗顔直後の水分が乾く前に叩いて吸収させる形でクリームを塗ると良し。油分や保湿力がどのぐらいの製品が適切なのか、肌のタイプによって確認しましょう。
アイクリーム
目元の小じわ予防のために塗ります。目もとだけではなく、首のしわやほうれい線など、しわの深い所に塗ってケアする人もいます。目元は他のところに比べて毛穴がとても狭いため、アイクリームは、普通のクリームより油分が多く配合されています。
その他
・ハンド/ボディクリーム
・CCクリーム/BBクリーム(自然な肌トーンの補正)
・クッションパクト(丸い形のケースのスポンジファンデーション。スポンジや手でBBクリームを塗るのが苦手な方は、これでとても自然に、肌のカバーとトーン補正が可能です。)
化粧品にも様々な種類がありますが、面倒な場合は、化粧水・乳液・美容液機能がまとまっているオールインワン(All in One)化粧品を使用して肌を大事にしましょう。
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(執筆:ライフ アンド ヘルス事業本部 香粧品営業課 庾 貞熙 (YOO JUNGHEE))
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コラム > 「化粧品の基礎知識/第1回:化粧品を販売するためには?」
コラム > 「おさえておきたい基礎知識 《香りを長続きさせるには? / 香水を安全に使うために》」
(参考)
・株式会社インテージ.“コロナ禍でも伸びた!男性の化粧品購入”.株式会社インテージ.2021-04-22
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2021/20210422.html
・松浦佳奈.“男性と女性の肌はどう違う?”.富士フイルムヘルスケアサイト
https://h-jp.fujifilm.com/contents/yomimono/top